「パパの育休」は年々取得率が過去最高を更新し、社会全体に浸透しつつあります。とはいえ、実際に取ってみないと分からない「お金の不安」や「子育ての現実」があるのも事実です。今回は、実際に育休を1年以上取得した私自身の経験を交えながら、育休にまつわる制度や、よく検索される疑問について詳しくお話しします。
きっかけは「収入減少への不安」
正直に言うと、育休を取ると決めたとき、一番の不安は「収入がどれくらい減るのか」でした。育児休業給付金がもらえるとはいえ、給料そのものが入るわけではありません。そこで私は、育休に入る前から家計の見直しに着手しました。
具体的には、まずスマホを大手キャリアから格安SIMに変更。毎月の固定費を大きく圧縮できました。また、育休前は週に数回参加していた飲み会も、子育てのために必然的にほぼ無くなり、その分の飲み代がまるまる浮くようになりました。さらに、給料を毎月コツコツ貯金するというスタイルが育休中は一旦ストップしてしまうため、その代わりに株式投資の勉強を始め、資産を増やす土台を作ることにしました。結果として、育休中でも家計を赤字にするどころか、プラスに転じさせることができ、これは本当に助かりました。「収入が減る=生活が苦しくなる」と思い込んでいましたが、工夫次第で乗り切れることを実感した1年でした。
育児休業給付金(育休手当)の条件・金額・入金タイミング
まず基本となる「育児休業給付金」についてです。もらえる条件は、雇用保険の被保険者であること、そして原則として育休開始前の2年間に「賃金支払基礎日数が11日以上ある月」が通算12ヶ月以上あることなどです。
金額(支給率)は、育休開始から180日目(約6ヶ月)までは休業開始時賃金日額の67%、181日目以降は50%となります。それぞれ上限額・下限額が設定されているので、事前にハローワークのサイトなどで確認しておくと安心です。
注意したいのは「いつ入るか」です。育休を取ってすぐに振り込まれるわけではなく、最初の申請から実際の入金まで約2〜3ヶ月程度かかるのが一般的です。私自身も、最初の給付金が入るまでの間は「本当にお金が入ってくるのか」と少し不安になりましたが、これは会社経由でハローワークに申請するための事務手続きの流れなので、想定内として資金繰りをしておくことをおすすめします。
手取り・実質10割の仕組みとは
育児休業給付金には所得税や住民税がかからない(非課税)という大きなメリットがあります。額面上の給与と比べると、思っていたより目減りしないと感じる方も多いはずです。
さらに、制度改正によって創設された「出生後休業支援給付金」により、夫婦ともに通算14日以上の育休を取得するなどの条件を満たすと、子の出生直後の一定期間(最大28日まで)、従来の給付率67%に13%が上乗せされ、合計80%が支給されます。これに後述する社会保険料の免除が組み合わさることで、休業前の手取り額とほぼ同等、いわゆる「実質手取り10割」の水準になる仕組みです。ただし、この10割相当になるのはあくまで条件を満たした最大28日間が中心という点は覚えておきたいところです。
ボーナス(賞与)への影響
育休を取ることでボーナスがどうなるかは、国の法律で一律に決まっているわけではなく、会社の就業規則(賃金規程・賞与規程)によって大きく異なります。多くの企業ではボーナスは直近半年間の評価に基づいて算定されるため、育休で働いていなかった期間に応じて査定や支給額が日割り・割合計算で減額されるケースが一般的です。私の場合も事前に会社の規定を確認し、育休期間がボーナス算定にどう影響するかを把握したうえで取得時期を決めました。事前確認は本当に大切だと感じています。
社会保険料の免除と住民税の扱い
育休期間中は、申請することで健康保険料・厚生年金保険料の本人負担分・会社負担分がともに全額免除されます。原則として雇用保険料もかかりません。
ただし、よくある誤解として「住民税も免除される」と思われがちですが、住民税は前年の所得に対して課税されるため、育休中であっても支払いが必要です。私は復職後に給与から天引きが再開される形を選びましたが、ボーナスからの一括徴収など、会社によって対応方法が異なるので確認しておくとよいでしょう。
社会保険料が免除されるための条件は、同一月内で育休を取得した日数が合計14日以上であること、または育休期間が月末をまたいでいることのいずれかです。1年以上の長期取得だった私の場合はこの点はあまり気にする必要がありませんでしたが、短期間の取得を考えている方は、この「月末またぎ」のルールを意識してスケジュールを組むと、社会保険料免除の恩恵を最大化できます。
産後パパ育休(出生時育児休業)との組み合わせ
「産後パパ育休」は、通常の育休とは別枠で取得できる、出生後8週間以内に特化した短期の育休制度です。通常の育休が原則就業不可なのに対し、産後パパ育休は労使協定があれば、事前合意の範囲内で一定日数・時間まで働くことも可能という違いがあります。
取得できる日数は最大4週間(28日間)で、最大2回に分けて分割取得できるのも特徴です。産後の一番大変な時期を夫婦で乗り切るため、あるいは手厚い給付金の要件を満たすためにフルで4週間取得するケースも増えているようです。私は最終的に産後パパ育休から通常の育休へとそのまま移行する形を取り、長期でしっかり子育てに向き合う道を選びました。
いつからいつまで・期間はどれくらいが一般的か
期間については、1〜2週間程度で取得するケースがボリュームゾーンとされていますが、1ヶ月、3ヶ月、あるいは私のように1年以上という長期取得も少しずつ増えてきています。長く取れば取るほど、育児にじっくり向き合える一方で、収入面・キャリア面での不安も比例して大きくなります。だからこそ前述の家計の見直しや資産形成の工夫が重要になってくると、身をもって感じました。
分割取得のメリット
産後パパ育休は最大4週間を2回に分けて取得することができ、通常の育休も法改正で1歳までに計4回まで分割取得が可能になっています。分割のメリットは、退院直後の大変な時期と、少し育児が落ち着いてワンオペになりそうな時期など、家族の状況に合わせてピンポイントで休める点、そして職場の業務負担を分散できる点です。まとめて長期間休むのが難しい職場環境の方には、分割取得も選択肢として検討する価値があると思います。
子育て面で感じた変化:健康と夜泣き対応
お金の面だけでなく、子育てを通じて自分自身の生活習慣にも大きな変化がありました。飲み会に行かなくなったことで、次の健康診断での血液検査の結果が明らかに良くなったのは嬉しい誤算でした。
また、育休中に気づいたのですが、自分は炭水化物を食べると眠くなりやすい体質のようです。夜泣き対応など夜間にすぐ動かなければならない場面が多いため、日中から炭水化物は控えめにするよう意識しました。ちなみに我が子の夜泣き対応は、抱っこして外を散歩するのが一番落ち着くタイプで、深夜に抱っこしながら外を歩き回ったことも数えきれません。こうした「うちの子ならではの落ち着かせ方」を見つけられたのも、長期間しっかり向き合ったからこそだと思います。
まとめ
パパの育休は、給付金や社会保険料免除などの制度をきちんと理解し、事前に家計の見直しをしておくことで、収入面の不安をかなり軽減できます。そして何より、育児に本気で向き合う時間は、家計だけでなく自分自身の健康や夫婦・家族のあり方を見つめ直す貴重な機会にもなります。これから育休を考えているパパの参考に、少しでもなれば幸いです。


